不動産業界の会報誌に興味深い記事を見つけました。
【記事の概要】
■日本の不動産の市況は7年サイクルになっている。
■1989年ころから、3年半は上昇局面、次の3年半は下降局面というサイクルを繰り返してきた。
■これは経験則であり、理論づけるのは難しい。
■7年サイクルに影響を及ぼしているのは、政府や日銀の金融緩和政策、不動産融資の総量規制、ITバブル、設計偽装問題など様々な要因である。
■さらに、投資家の「高くなったな、という印象」や「飽きてきた」など、心理動向がマーケットを左右し、その結果7年サイクルになっている。
以上が記事の概要です。
何が興味深かったかというと、投資家の心理動向がマーケットを左右しているという部分です。
根拠もなければ理論武装もできない説で、なかなか言い出せないことを語っているところに共感を覚えます。
記事は2月ごろに書かれていると思われ、コロナとの関連については触れられていません。
それでは、コロナ終息後の不動産市況はどうなるのでしょうか?
以下、私見です。反論もおありでしょうが、上記、心理動向論に勇気づけられて、勝手理論を述べるものです。
【これまでの経済環境】
経済環境は、9年から11年サイクルになっていると考えます。
1990年前後にバブルが崩壊し、1990年代後半には証券破綻、2001年には同時多発テロが発生しています。
そして、2008年のリーマンショックからは11年半、2011年東日本大震災からは9年が経ちました。
【最近の不動産市況】
不動産は、2017年頃から高止まりを続けてきました。
諸説ありますが、このコロナ禍発生前から不動産市況は飽和状態を迎えており、いずれは下降線をたどると言われていました。
【これからの不動産市況/緩やかな下降線】
しかし、下降線をたどるものの過去のバブル崩壊やリーマンショックとは異なり、破滅的な暴落にはならないでしょう(1990年代前半の地価が、異常値だったことを考慮したとしても)。
【裏付け】
我々は、バブルの崩壊に少しずつ慣れてきたはずです。
上記業界紙にあるように、世の中の心理動向が左右していると言えるのではないでしょうか。
つまり、バブル崩壊を “無意識のうちに” 予測し、リスク回避に動き、予防線を張っているのだと。そこには、数値化できない、表面化しない対応が存在していると考えるのです。
例えば、借金を重ねて不動産投資をし、銀行もそのためにどんどん貸し出していた時代は過去のものとなっています。
また、値崩れを防ぐためにマーケットをコントロールしている大手業者も存在しています。
こういった、見えにくくデータ化しにくい動きが存在していると考えます。
ちょっと、話はズレますが、3月にコロナウイルスが急激に蔓延した際、株も為替も乱高下しました。
この乱高下は、今はありません。これによく似ています。
【今後】
コロナ禍が与える影響は測り知れません。倒産件数も想像を超えるかもしれません。しかし、世の中の心理動向の影響により、不動産市況は(おそらくは経済全体が)、緩やかに長い下降線をたどっていくものと思料します。
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及川真 (木曜日, 14 5月 2020 21:59)
よく言われるのは、50年前からそうでしたが東京1極集中の弊害です。コロナ禍が都市部に集中し、改めて過密都市の恐ろしさを認識した方も多いのではないでしょうか?
テレワーク、時差通勤などが常態化してくれば、駅近物件の優位さはなくなり、30年前にも言われた地方の時代が来るのかも。
首都圏でも周辺部の格安物件に流れてよりIT環境が整っていることが求められるようになってくるのではないてしょうか?